「宇宙戦艦ヤマト 劇場版I」を見ての感想

劇場版 宇宙戦艦ヤマト

テレビシリーズの「宇宙戦艦ヤマト」を元に編集、追加、描き足しをして劇場公開した作品です。

テレビシリーズと同じ「スターシャ生存編」とテレビシリーズとは違う「スターシャ死亡編」があるみたいです。

全体的には上手く編集している場所とそうでない場所があり、特に後者が多く、上手さよりも下手さが目立っているような気がします。ヤマトの長い旅を短い時間で纏めるのは大変だとは思うけど、作りが大雑把で下手なのはそれとはまた別の話だと思います。見せ場でも緊迫感が無くなっていて...もうちょっと上手に作って欲しかったです...。「劇場版 宇宙戦艦ヤマト」の感想を一言で表現するなら...「残念」かな...。

オープニングテーマ「宇宙戦艦ヤマト」

劇場版のオープニングは真っ黒な画面の中、オープニングテーマ「宇宙戦艦ヤマト」が流れる形で始まっていました。曲はスローテンポの序盤があるタイプのものでした。

オープニングでのナレーション

オープニングでのナレーションでは、テレビシリーズだと視聴者がもう少し後にならないと分からないような事、例えば地球の置かれている立場や敵につていなどの多くの事が纏めて一気に説明されていました。

ガミラス星の住所(?)は「大マゼラン雲サンザー太陽系第8番惑星ガミラス」になるみたいなんだけど、「サンザー太陽系」の「サンザー」の部分がテレビシリーズでは出て来なかったような気がします。

あと、海王星、冥王星、火星がガミラスの勢力圏と言う事になっていて、テレビシリーズでは触れられていなかった海王星が加わっていました。

冥王星付近での戦闘

ガミラス宇宙艦隊と地球防衛艦隊との攻防で「ゆきかぜ」が沈み古代守が戦死を遂げていました。劇場版を最後まで見た後に分かったんだけど、テレビシリーズとは違って、この後、古代守も「ゆきかぜ」も1回も出て来ません...。

沖田十三はこの時点では「地球防衛艦隊司令沖田十三」と言う肩書きみたいです。

火星のサーシア

地球防衛軍火星観測所で訓練中の古代進は「戦斗科訓練学生」、島大介は「運行科訓練学生」となっていました。

島大介がサーシアのカプセルの扉をすり抜ける場面は修正されずに残っていました。

地球

通信カプセルのスターシアからのメッセージではガミラス人が放射能による地球人滅亡を待っていると言う話の他に、地球型の空気の中ではガミラス人が生きていけない事と言う事まで話していました。ガミラス人が地球型の空気の中では宇宙服を着なければいけないと分かったのはテレビシリーズでは第26話のデスラー総統の言葉からなのに...こんな序盤に分かるなんて...。

波動エンジンは「超光速波動エンジン」と呼ばれていました。波動エンジンが光の速度を超えるエンジンだと言う事を視聴者に最初から分かりやすくしたのかな...。

ヤマトの遺跡にガミラスの偵察機が現れた時、古代進と島大介はテレビシリーズと同じように発進するけど、古代進の動機がテレビシリーズとは大きく違っていました。古代守の仇の顔を見るためではなく、訓練学生として実際の戦闘体験を積む絶好のチャンスとの事でした...。

ヤマト発進

ガミラス宇宙空母のエピソードがありませんでした。

冥王星ガミラス前線基地から発射された超大型ミサイルがヤマト目掛けて飛んで来る場面では、テレビシリーズと違って連動スイッチがちゃんと入っていたのか、ヤマトの波動エンジンは1回で始動していました。

火星へのワープテスト

テレビシリーズと同じように真田志郎がワープの説明をしていたけど...姫は何回聞いてもこの説明の意味が分かりません...。どうしても何か騙されているような感じ...。

高速空母との戦いは戦闘シーンが多くなっていたような気がします。その分、ワープした時に見える大昔の地球のような映像が映る場面や森雪が裸になる場面は削られていました。

シュルツやシュルツの部下達は皮膚の色が日本人の言うところの肌色だったけど、デスラー総統や副総統ヒスは既に青い肌の色になっていました。あと、デスラー総統はイスカンダルからエンジンの設計図が送られた事も知っていました。テレビシリーズとはこの辺りも違うみたい。

木星浮遊大陸

木星の浮遊大陸や波動砲のテストの話は少し触れられただけで直ぐに終わっていました。簡単に纏め過ぎのような気もするけど...時間の関係で仕方が無いのかな?

冥王星ガミラス基地攻略

テレビシリーズの冥王星ではヤマト対反射衛星砲が物語前半の見せ場の1つだったのにそれがかなり簡略化されて...ヤマトを見た事の無い人が見たら何が何だか分からないくらいにあっさりと纏められていました。

テレビシリーズではシュルツは最後、冥王星を脱出したのに、劇場版ではシュルツ司令は冥王星前線基地から脱出しなかった事になっていました。「デスラー総統万歳」って言ってたけど...そのまま死亡したのかな...。

アステロイドベルト戦

ヤマトがアステロイドベルトで反重力反応機で岩盤を装着してアステロイドリングを作り出してガミラス艦隊と戦う場面...ここもかなり短く纏められていました...。

テレビシリーズでは冥王星を脱出したシュルツ司令の艦隊と戦うんだけど...劇場版ではシュルツは冥王星を脱出していないから...と言う事は、ここでヤマトと戦ったガミラス艦隊は何艦隊なんだろう...。

地球との交信

地球との最後の交信の場面では地球側の「ヤマトの全てが知りたい」に対し、ヤマトからお返事するエピソードはありませんでした...。無視しちゃったのかな...。

デスラー防衛網

デスラーの変色のシーンはちゃんと残っていました。でも、デスラーの肌の色は肌色(日本人の言うところの)から青色の二段階変色と少なくなっていて、変化に使う時間も短縮されていました...。

ヒスがヤマトのおろかな航海振りの説明をする場面は、デスラー紀元に基づいた話を始めるかと思ったら...突然話を締め括っていて...台詞の流れが不自然で完全に編集が失敗しているように見えました...。

デスラー防衛網の話をしておいてデスラー機雷のエピソードは抜きでした。赤色巨星アルファ星を通過するエピソードも駆け足で...全く緊迫感の無いものになっていました...。

バラン星~七色星団

テレビシリーズでは古代進はバラン星の人工太陽のお話の中で鋭い洞察力を見せて活躍して、それでそのお話の最後に艦長代理になるんだけど...劇場版では古代進はバラン星到達前、しかも何の活躍も無しに艦長代理になっていました...。

バラン星到達前のバラノドンのお話、バラン星での人工太陽のお話は描かれていませんでした。そもそもバラン星にはガミラス前線基地が置かれていないような感じでした...。

そして...いきなり七色星団の決戦...。テレビシリーズでは七色星団の決戦はドメル将軍が死刑を取り消された後に背水の陣で臨んだ戦いだったけど、劇場版ではヤマトとの初戦の場になっていました。ドメル将軍はテレビシリーズでは最初から死を覚悟して戦いに臨んで最後は自爆するけど、劇場版では自爆するほどは追い詰められていないはずなのに自爆していました...。

ちょっと気になったのは第二空母からの爆撃機がヤマトを爆撃した際の効果音です。爆撃の際に「ブッシー」って効果音が鳴るんだけど...それが凄く人間の声っぽく聞こえて...気持ち悪いんです...。姫の気のせいなのかな?それともやっぱり人間の声なのかな?本当のところはどうなんだろう...。

ガミラス本土決戦

ヤマトは何の流れも無く、突然、強磁性フェライトに包まれた状態になっていました。相変わらず話の流れが悪いです...。でも、その後のガミラス本土決戦のお話は他の場面に比べると長い時間を使って描いていました。終盤の見せ場だから当然だとは思うんだけど...逆に言うとここをある程度長い時間を使って見せたかったから他の場面を(テレビシリーズを見ていない人には不親切なくらい)短く纏めたのかな。

イスカンダル・スターシャ生存編

イスカンダルでのお話は「スターシャ生存編」と「スターシャ死亡編」に分かれていました。

スターシャはテレビシリーズでは最初の頃は「スターシア」、最後の方では「スターシァ」と言う表記になっていたけど、劇場版では「スターシャ」になっていました。こう言う曖昧さは姫みたいなアニメ初心者にとっては余計な混乱を招く原因になるので、出来れば最初から統一しておいて欲しいです...。

「スターシャ生存編」はテレビシリーズを短く纏めた感じになっています。でも、テレビシリーズのイスカンダルでは古代守が保護されていたのに、劇場版のイスカンダルでは古代守は出て来ませんでした。冥王星付近のガミラス艦隊との戦いで「ゆきかぜ」が沈んだ時に死亡したって考えて良いのかな...。それとも生きていてガミラスの捕虜になったけど...その後もそのまま捕虜になり続けているのかな?もしかするとガミラスの船と一緒に未だ漂流中?イスカンダルで保護したけどヤマトには内緒にしておいた?色々考えられるけどはっきりしないです...。

あと、藪機関師の反乱はありませんでした。ダイアモンド大陸を沈めた天変地異も無しです。でも、テレビシリーズにあった「スターシャが頷いて徳川彦佐衛門が(藪機関師の事で)すまなそうに退室する」場面はありました。それと森雪は怪我をするような出来事が全く無いのに腕に怪我を負っているようでした。テレビシリーズみたいに藪機関師に誘拐された訳でもないのに...。

スターシャ死亡編

イスカンダルに入ったヤマトは海上に見える洞窟のような穴の中から海底に潜り(なぜかヤマトは光を帯びています...)、誘導されるまま進み、再び海上に浮上したところで光り輝くお城に到着します。上陸した古代進、島大介、森雪、アナライザーが光の道に乗って運ばれた先には立体ホログラフ映像のスターシャがいました...。スターシャはヤマトを待っていたけどその間に寿命が尽きて死亡してしまったみたいでした。

立体ホログラフ映像のスターシャはサーシアが死亡している事も知っていました。テレビシリーズの生きているスターシア(スターシァ)はサーシアの死を知らずに森雪の事をサーシアと間違っていたのに...。そう言えば、「スターシア(スターシァ)」が劇場版では「スターシャ」になっているって言う事は...「サーシア」は劇場版では「サーシャ」になるのかな?少し気になるところです...。

姫としては古代進と既に死亡している立体ホログラフ映像のスターシャとの会話が成立していた事が不思議でした。偶然話が噛み合っただけなのかな?それとももっと奥が深い何かがあるのかな?

スターシャが死んでいても放射能除去装置(コスモクリーナーD)はちゃんと用意されていました。スターシャの生死の違いはお話の大きな流れには影響を及ぼさないみたいです。

立体ホログラフ映像のスターシャは「放射能除去装置はデスラーがイスカンダルに手を出せなかったほどの素晴らしいものです。」って言っていたけど...これって、イスカンダルに放射能除去装置があって、放射能で汚染させる事が出来ないからガミラスも攻め込めなかったって言う事なのかな?

生存編と同じく古代守の姿はイスカンダルにはありませんでした...。

地球への帰還

ヤマトはワープにワープを重ねて地球を目指し、銀河系に入ったところでは既に放射能除去装置(コスモクリーナーD)のテストも成功の裡に終えていました。

テレビシリーズではデスラー総統が生きていてデスラー砲で攻撃を仕掛けて来るお話があったけど、劇場版ではデスラー総統の再登場もデスラー砲もありませんでした。デスラー総統はガミラス星で死んだ事になっているのかな?

デスラー総統の復活とヤマト襲撃が無い事で森雪の死と復活もありませんでした...。真田志郎の空間磁力メッキも出番無しです。

あと、テレビシリーズにあったイスカンダルでの藪機関師の反乱が劇場版では無かった事になっているため、ヤマトの艦内にはちゃんと藪機関師の姿がありました...。

地球が目前に迫ったところで沖田十三艦長はテレビシリーズと同様に死亡...。テレビシリーズとは違って劇場版ではバラン星手前での沖田十三艦長の手術の場面はなかったけど、沖田十三艦長は手術してもしなくてもこのタイミングで死ぬ運命だったみたい...。

古代守は「ゆきかぜ」と共に沈んだままその後は不明、スターシャは生存編と死亡編に分かれていて、デスラー総統はガミラス星で瓦礫の下になったままその後は登場無し、森雪は死なず(生き返らず)、藪機関師も死なず...。ここまで自由自在に変更を加えているんだから姫としては沖田十三艦長生存編も見たかったような気もします...。だけど、他のキャラクターの生死や死に方と違って、作り手側としてはこの沖田十三の死の場面だけは譲れなかったのかも...見ているとそんな感じを受けました...。

2200年9月5日、宇宙戦艦ヤマト生還。テレビシリーズでは不明だったけど、劇場版ではヤマトの生存者と死者の数は...生存者67名、死者47名...姫が思っていたよりも死者が少ないです。それと、テレビシリーズとは違って、地球が元の地球に戻る絵を見せるだけでなく、ちゃんと「そして地球はもとの青さを取り戻した」と書いてあって、より安心感の高い終わり方になっていました。

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